情報探索から購買前代替案評価まで

消費者の意思決定の流れ(ブランド選択モデル)

情報探索から購買に至るまでのプロセスは、消費者が評価・検討する商品の候補(集合)が順次絞られていく意思決定のプロセスと捉えることができます。検討の初期の段階では比較的多くの選択肢(商品)が検討されますが、購入直前の段階では絞り込まれた少数の選択肢のあいだでの比較検討が行われる、と考えられます。このよう選択肢の絞込みのプロセスは、図1のように、調査結果から[入手可能集合]⇒[知名集合]⇒[興味集合]⇒[考慮集合]⇒[選択]という階層構造(ファネルあるいはピラミッド)で表すことができます(ブランドエクイティの計測にもなっています)。それぞれの段階から次の段階へ上れない情況でのマーケティング課題は図中の1~4に示したとおりです。最終選択候補にまで登りつめた情況での、マーケティング課題は、「他ブランドを選択したときの知覚リスクを高める」事になります(違うブランドを選んだら失敗するかも知れない)。

消費者の意思決定の流れ(ブランド選択モデル)

情報探索

消費者はニーズを認識した後、ニーズを充足するのに関係する情報を探索します。情報探索は購買しようとする製品・サービスのカテゴリーにおいて、どのようなブランドが存在し、それがどのような特徴を持っているかを把握しようとすることです。そのために、まず自分自身の記憶(長期記憶といいます)に貯蔵されている情報の中に、関係する情報があるかないかを検索します(内部情報探索といいます)。長期記憶は過去の購買・使用経験や消費者のマーケティング活動への接触⇒注意⇒理解⇒受容⇒保持で形成されます(第16回コラムの図1の左側のプロセスになります)。内部情報探索だけでどの銘柄を買うかを決められない場合、消費者は外部情報の探索を始めます。外部情報はマーケティング・コミュニケーションや家族・友人、インターネットなど、様々なタッチポイントから得ることができます。

情報探索

購買前代案評価

次に消費者は購入しようとする候補について、内部情報探索と外部情報探索によって取得した情報を基にそれらを評価していきます。評価の仕方は消費者の欲求に基づいた評価基準・ルールによって選択対象とする製品が比較検討され、購買しようとするものが決まります。

パソコンを購入する場面を想定すると、消費者は既に持っている知識や店頭やカタログなどタッチポイントから得た知識で、パソコンの性能、サイズ、価格、ソフト、デザインなど、複数の属性を考慮しながら購買の意思決定をします(このような複数の属性の情報を検討してなされる決定を、多属性効用理論といいます)。ここでの評価基準・ルールには大きく分けて、「補償型」と「非補償型」の2つがあります。補償型では、ある製品を評価する場合、ある属性の評価が低くても他の属性の評価が高ければ、それはカバーされて総合的な評価が下されます。非補償型は補償型のような属性間の補償関係がないような(評価基準となる属性で劣っている選択肢はほかの属性が優れていても、カバーできないと考える)ルールです。これには、「連結型」、[辞書編纂型]、「逐次消去型」、[感情参照型]などのルールがあります(図中の説明を参照ください)。

購買前代案評価

補償型ルールを使うのは、消費者にとって情報処理の負荷が大きいため、その商品について興味や関心など関与度が高く、自分の持つエネルギーなどの資源を投入しようと思っている場合に限られます。図3の例では、ブランドごとに属性評価と属性の重要度が積算され、最も高い評価点(知覚価値)をとったものが選択されます(Aブランドの知覚価値は:10×0.6+6×0.1+5×0.3=8.1となります。調査で属性の重要度とそれに対応する属性でブランドの評価を質問するのはこのためです)。選択肢の数が少ない場合は補償型が、多い場合は非補償型のルールが適用されることが多いようです。選択肢数や検討する属性数が多い条件では、消費者は多くの情報を処理しなくてはならないため、それを回避するために、単純な決定方略が採用されます。情報の負荷が大きくなりすぎると決定を回避することもあります。

(ジャムの実験の例=選択肢が多すぎると買わなくなる・・・決定麻痺現象)
スーパーマーケットの入り口近くに試食コーナーを設置し、数時間ごとに多数の品揃えと少数の品揃えを入れ替えた。多数の品揃えでは24種類のジャムを並べ、少数の品揃えではそのうちの6種類だけを陳列した。その上で、試食コーナーに立ち寄った客全員にどのジャムにも使える1ドル引きのクーポンを提供し、使われたクーポンを集計した。

多数の品揃えのほうが試食コーナーへの立ち寄り率は高かったが、購入率では少ない品揃えのほうが6倍も高い結果となった。品揃えが多い場合には立ち寄った客の多くが選択に戸惑い、結果として買わないで立ち去ってしまった。6種類の品揃えの場合にはこのような迷いが発生することなく、結果として購入率が高くなった。選択肢が多くなると迷いが生じてかえって購入率が下がるような現象を、決定麻痺現象といいます。(守口剛、竹村和久(2012年)「消費者行動論」八千代出版 p49)

消費者行動論

高関与商品では多くの属性に対し評価が行われ、合理的思考に基づいて選択が行われるが、低関与商品では情報処理を単純化した素早い選択が行われます。消費者の購買意思決定の現実の姿は属性効用理論よりもはるかに簡略化されたものであることが多いのです。

消費者は新たな情報探索はほとんど行わずに、下記のような、過去の購買経験や使用経験から得た経験則を基に情報処理を簡略化し、習慣的に、ほとんど無意識にブランドを選んでいるのです。

  • いつも購入しているものと同じものを選ぶ
  • 母親が使っていたものとおなじものを選ぶ
  • 最も安価なものを選ぶ
  • 信頼している人物が推奨しているものをそのまま選ぶ、など。

次回は購買行動における、「価格と消費者心理」に関し、少し詳しく見ていきます。

情報処理の簡略化

Appendix:TURF分析

ジャムの例とは直接関係はありませんが、数多くの候補の中から、限られた製品数で購入者のカバレッジや購入量が最大化する組み合わせを見つける調査アプローチを紹介します。

図4で、単純に購入意向の大きさの順で、3製品を選ぶとストロベリー、ブルーベリー、チョコレートで決まりと思われますが、TURF分析を使うとストロベリー、チョコレート、ミントの組み合わせのほうが多くの購入者の獲得が期待できることが分かります。

分析のプロセスは、まず全対象者の間で一番購入意向の高かったストロベリーを選び、次にストロベリーの購入意向者を除いて集計し、この人達の間で一番購入意向の高かったチョコレートを選びます。これを繰り返すことで、最適ミックスを選ぶことができます。
忘れずに購入頻度の質問をしてください。

TURF分析

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