購買プロセスに伴う、消費者の情報処理のプロセス

図表1にあるように、消費者の購買決定・消費プロセス(図の中央:問題認識⇒情報探索⇒購買前代案評価⇒購買⇒消費⇒消費後評価)と同時進行するのが図の左側の情報処理のプロセスです(第16回に呈示した図表と同じです)。

消費者の意思決定過程の概念モデル

知覚の形成

情報処理のプロセスにおいて、消費者は外部からの刺激(マーケティング刺激=商品、ブランド、サービス、広告、販促、イベントやクチコミ・顧客経験など)に、五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)を通じて接触し、その情報に注意を払って選別し、さらに選別した刺激を解釈・理解(意味付け)します。この過程のことを「知覚形成のプロセス」といいます。つまり消費者は情報を選択的に入手し、商品購入に必要な情報の自分にとっての意味づけ(符号化)を行います。マーケターが伝えたいと思うことがそのまま素直に伝わるわけではありません。知覚が形成されると、知識として記憶に蓄えられるようになります。

知覚の形成は次の3つのプロセスからなります。

  1. 選択的注意
    人はすべての情報に注意を払うことはできません。自分に興味・関心のある情報には敏感に反応しますが、そうでない情報は排除する傾向があります。消費者の注意を引くには、消費者の刺激に対する次の3つの傾向を理解して対処する必要があります。
    a)自分の興味・関心に関係のある刺激に反応する
    b)予想していた刺激に反応する
    c)通常よりも刺激の強いものに反応する
  2. 選択的歪曲
    刺激にうまく注意が向けられたとしても、それが意図したとおりに伝わるとは限りません。人は新しい情報を自分の先入観に合うように歪曲してしまう傾向があります。たとえば新製品の特長を伝えようとしても、自分の気に入っている製品の知覚に影響されてしまう、といったことです。
  3. 選択的記憶
    人は学んだことの多くを忘れてしまいますが、自分の態度や信念を裏付けてくれるような情報は憶えている傾向があります。たとえば気に入っている製品の長所は良く憶えていても、競合品の長所は忘れてしまう、などです。

選択的歪曲も選択的記憶も強いブランドにとって有利に働きます。「先行者利益」ということが言われ、「カテゴリー・チャンピオン」になることが重要といわれる所以です。調査の上では、マインド・シェアの高さ(非助成想起のうちの第一想起)になります。

知覚の形成プロセス

注意を向けさせる

注意に影響する要因としては、1.刺激自体の要因と、2.個人的な要因があります(その他に情況要因がありますがここでは説明を省きます)。

刺激自体の要因を整理すると、図表3のようになります。広告コミュニケーションでインサイトが重視されるのも「あ、なるほどね!」と思わせれば、消費者の注意を喚起し、記憶に届きやすくなるからです。茂木健一郎さんは「欲望解剖」(2009年,幻冬舎)のなかで、[脳は規則性のある押し付けを非常に嫌う。半ば予想ができるけれども、半ば予想ができないという要素をいれておかなければ、脳をひきつけることはできない]としています。少しだけサプライズ=インサイトを与えるもの、が必要なのです。

注意を喚起する刺激自体の要因

個人的要因

個人の注意を高めるには消費者の刺激への関与を高める必要があります。図表4に、低関与製品の関与度を高めるマーケティング上の方策をリストにしました。

関与度を高めるマーケティング戦略

梅沢伸嘉さんは知覚の特性を次の4つに整理しています。

  • 選択性:
    自分にとって興味、関心、価値がなければだめ
  • 意味化:
    意味のあるものが優先的に知覚される。カテゴリー名、ブランド名、USP(Unique Selling Proposition)の3点セットが揃うこと
  • 恒常性:
    「机はどんなアングルから見ても机に見える・遠くのものは近くのものより小さく見える」、というような知識を持っていることにより成立する知覚。(マーケティング的には、SONYといえば…世界最小、世界最軽量といった知覚)
  • 順応:
    同じ刺激を続けると次第に弱く感じるようになる(マーケティング的には、訴求に新しさを加えないと次第にブランドの鮮度を失う)

知覚が形成されると、知識として記憶に蓄えられます。この記憶のうちブランドに関する知識がいわゆる「ブランド」です(ブランドについては、第14回の「ブランド知識」を参照下さい)。

次回は「知識と記憶について」紹介する予定です。

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