第2回

デバイスフリー時代の新しい調査設計(2)

「Mixed-Mode Research (スマホ・PC併用調査)」について

デバイスフリー時代の新しい調査設計(2)執筆 : 植村 史明

※本テーマのコラムを全2回に渡ってお送りいたします。

Mixed-Mode Research ガイドライン

弊社ではこの問題に対して、「Mixed-Mode Research ガイドライン」を作成しお客様にMixed-Mode Researchの理解と採用を提案しています。ガイドラインの作成にあたっては、弊社独自で実験調査を実施し検証を行ってきました。ここでは、ガイドラインの中から抜粋したものを、ご紹介します。

調査画面の設計 (一部抜粋)

  1. 想定するスマホ画面
    調査画面の設計にあたっては、スマホ画面に配慮した設計を行うことを基本としています。
    • 流通するスマホのうち、特に小型画面のモデル(4インチ、16:9画面)を想定
    • 弊社実験調査では、83%が「当該アンケートを縦方向で回答した」と回答していることから縦長画面の向きで回答されることを想定
    • 質問文の文字数、選択肢の文字数を設定し改行を行い、読みやすさを工夫
  2. 一覧性を重視
    回答負荷を抑え高い回答品質を維持するためにも、「スマホ画面での一覧性」を出来る限り確保することを意識しています。
    • 1つの質問を可能な限り1画面におさめるよう意識する
    • 質問文を2行以内におさめるよう意識する
    • 選択肢の数を12個以内におさめるよう意識する(スクロールなし)
  3. 質問文の書き方
    質問文についても、質問の意図が誤解なく伝わる最小限度の書き方を推奨します。
    • 主語が明確な場合は、主語を省略する
    • 伝えたい質問の意図を変えることなく、簡潔な表現を心がける
    • 必要最低限の丁寧語にとどめる(丁寧語を使わない文章は、対象者の心証を損なう恐れがある)
  4. マトリクス形式の質問の活用について
    海外の文献はマトリクス形式の質問の活用に対しては極めて否定的です。横書きの英語表記では、表頭部分が横に長くなり横スクロ-ルが必要となるため回答しづらくなることが原因と考えられます。これに対して、縦書きも可能な日本語表記では、表頭の数が5つ以内の場合はたとえマトリクス形式の質問であっても、一覧性が確保でき回答負担を軽減することが可能となるのではないかと考えられます。この点を検証するために、同じ質問についてモナディックにて、マトリクス形式とプルダウン形式で回答してもらい、回答後にそれぞれの対象者に回答のしやすさを質問するという実験調査を行いました。結果は、マトリクス形式の方が「回答しやすかった」という回答が多いという結果でした。この結果から、短絡的にマトリクス形式を全面的に推奨する訳ではありませんが、設定する表頭の数、質問文・選択肢の書き方の工夫によっては、マトリクス形式が効果的な場合があることが実証されたと言えます。
楽天リサーチによる実験調査
  1. ランダマイズ
    やむを得ず「一覧性」が確保出来ない場合は、特定の選択肢への回答が集まることを回避するためにも、ケースによっては選択肢のランダマイズを推奨します。
    現在主流の調査設計と、Mixed-Mode Research(スマホ・PC併用調査)の特徴を比較すると以下の通りです。
楽天リサーチによる実験調査

スマホ回答とPC回答の集計・分析

集計・分析にあたっては、標本枠効果と端末効果によりPC回答とスマホ回答の違いが生じる場合があるということを理解した上で、いずれかの端末からの回答結果を正とするのではなく、全体を網羅するという意味において両端末からの回答結果を合算することが望ましいと考えます。
PC回答とスマホ回答の端末比率に関しては、原則コントロールする必要はないと考えます。但し、同時期または比較的短期間に複数調査を行い調査結果を比較する場合(モナディック評価によるコンセプト調査や製品調査、または広告やプロモーションのプリ・ポスト調査のようにパネル・マッチを必要とする場合)は、割付方式またはウェイト集計による補正方式により、端末比率を考慮することが必要であると考えます。

まとめ

Mixed-Mode Research(スマホ・PC併用調査)の考え方に基づいた調査設計を行うにあたっての留意点をまとめると、以下の通りです。

  • 対象者の網羅性という観点から、特定の端末からの回答者を制限しない「スマホ・PC併用調査」を基本とする
  • PCとスマホのどちらの端末から回答されても誤解や回答負荷を抑え、質の高いデ-タを収集できる調査設計をする
  • 現状のPCからの回答を想定した調査設計ではなく、小さい画面のスマホからの回答を意識した調査設計を行い、同じ設計をPCにも適用する
  • スマホ画面の「一覧性」を確保すべく、質問文・選択肢の書き方を工夫する
  • 分析にあたっては、PC及びスマホのいずれかの端末からの回答結果を正とするのではなく、両端末からの回答結果を合算して集計し分析を行う
  • PC及びスマホの回答端末比率を考慮すべきケースを理解し、必要なときにだけ回答端末比率を調整する(必要に応じてウェイト集計を適用)

スマホ端末からの回答が増加し今後もこの傾向は加速していくという環境の変化が起こっている今こそ、過去の経緯にとらわれることなく質問の有用性や必要性を再考し、変化に対応した調査設計のあり方を改善・進化させる機会であると考えています。

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