第6回

何かと不安が伴う『海外調査』に、安心を添える“経験値、感覚値”

何かと不安が伴う『海外調査』に、安心を添える“経験値、感覚値”執筆 : 松田 茂

『海外調査』と聞くと“大変そう”という印象を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
漠然とした“大変そう”という印象の裏側には「よくわからない」を筆頭に、「よりどころは何?」「何から調べればよい?」「誰に聞けばよい?」といった不安がモヤモヤとしているのかもしれません。

普段の生活と異なる「国や地域」に接する機会も意外と少なく、調査対象となる、商品展開先やユーザーの生活環境、サービスの利用者がいる地域となると、必ずしもその生活環境が思い浮かぶわけではありません。日本国内で暮らしていると自然と得られる“肌感覚”が無い中で、調査対象の方から届いたアンケートの回答や評価の意見を受け取り、その結果の背景にある感覚値が掴めずに戸惑うことも少なからずみられます。

我々も世界各地に出向いて感覚値を磨くわけにいかないので、海外調査に関わるメンバー間でも、経験値、感覚値を補うための工夫として、各国の基礎データを集めて共有するなど、安心を添えるためのアプローチを地道に行なっているので、いくつかご紹介いたします。

1.基礎情報の整備

  • 調査票作成の際に頻出する設問/選択肢をまとめたデータベースを構築中
    「現地の地域区分はどのようになっているか?」「年収と月収のどちらで聞くのが一般的か? 」「宗教や人種を調査で聞いてもよいか?」などを解決に向けて、ローカライズされた属性区分情報(地域、収入、職業、学歴、宗教、人種など)のデータベース化を進めています。

    近々、サウジアラビアでも女性が運転免許を取得できるようになるかも!などのニュースもありましたが、常に変化が見られる世界なので、基礎情報をガイドラインとして使えるように定期的なアップデートも忘れずに行なうことが重要です。
    対象の商品によっては、収入レンジの偏りがみられることもあるので、“この国の日用品ならこのレンジ”、“高級車だったらこのレンジ”と自信が持てるレベルに達することを夢見ながら、日々の経験と情報精査の積み重ねをコツコツと頑張っています。
  • 統計データやインフラ環境など
    自社パネルを保有するアジア諸国を中心に、各国の基本情報となる人口や、人口密度、経済成長率や交通インフラなどを日本と比較した資料を作成しています。

    情報を整理する中で、東京と姉妹都市となるインドネシアの「ジャカルタ首都特別州(DKI JAKARTA)」の人口、人口密度、エリア面積が「東京23区」と近似値であることなど意外な感覚値を掴むこともできます。(図1,2)また、“ジャボデタベック(Jabodetabek)”など馴染みのない言葉に出会うこともしばしばあります。ちなみにジャボデタベックはインドネシア最大の都市圏となる「ジャカルタ首都圏」の通称として使われている表現です。
基本情報: 国比較-首都圏

基本情報: 四輪車、二輪車の保有台数

2.事前調査の実施

商品の海外展開に向け「仕向地の価値観を知る」ことがテーマとなった場合、現地に赴いてインタビューや視察を行う前に、現地事情や調査目的に関連するトピックに焦点をあて、現地生活者とコンタクトを取りながら情報整理を行うこともあります。
これまでに経験した「日本で耳にすることの少ないワード」としては、インドネシアの社交小口ビジネスコミュニケーションの『アリサン』や、ロシアでは国から与えられた別荘地『ダーチャ』の歴史などは事前に理解しておかないと、手ぶらでインタビューに臨むと頭に中はすぐに「?」で一杯になりホテルに戻ってから“突貫デスクリサーチ”のタスクを背負うことになりかねません。

ただ、事前調査も、検索・探索~情報収集、整理を行う手間は掛るので、何とか時間を絞り出し、事前準備のインプットを怠らないようにしています。

また、楽天グループならではの「外国人社員とそのネットワーク」を活かし、社内で「現地の生活者の価値観」や「現地と日本の違い」「色、カタチの感覚的な評価」などの簡易的なインタビューを行なうこともあります。ちょっとしたグループメリットです(図3)。

社内インタビュー

3.画像を通した理解

昨年、弊社のセミナーでもご紹介しましたが、生活環境や使用実態を把握する上で、対象者から得られる画像情報は、まさしく“百聞は一見にしかず”ともいえる気付きが得られることもあります。
自宅周辺やリビングを通した生活の雰囲気、家族でのレジャーシーンの画像などから、持ち物やアクティビティのトレンドを垣間見ることもできますし、勿論、調査として集める以外にも、現地の方のブログやインスタグラムなど大量の画像が検索ワードで一覧できるので、テーマを決めて集めた画像を持ち寄ってのディスカッションを行ったりすると、他の人の視点や解釈を通して倍速で理解が深まることもあります(図4,5)。
検索に慣れてくると、一覧の中から目的の地域やテーマに辿り着くコツや、直近の画像データを見極めるポイントなども身についていく気がします。

大変そうだな…と思われている海外調査も、携わる中でご自身が興味を持てる国やジャンルを見つけて一歩踏み込んでみて、少しずつ理解していく、というような経験を重ねる中で、自然と愉しめるようになり、何となく感覚値が掴めてきます。するとさらに…というのが理想的な循環なのかもしれません。

画像データから見る特徴:冷蔵庫【タイ】

画像データから見る特徴:冷蔵庫【ベトナム】

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