海外インタビュー調査『成功のカギ』を握る力執筆 : 松田 茂

『成功のカギ』となる “3つの力”

海外調査を担当していると調査対象となる様々な国や地域の現地感覚を、より深く、よりリアルに理解することを目的としたオフライン調査(会場での評価やインタビュー、家庭訪問など)を行う機会が訪れます。

オンラインで行うネットアンケートとは異なり、オフラインで行うインタビュー調査は現地に赴き、そこでの生活する方々が感じるコメントを直に聞くことができる貴重な機会となるのですが、インタビュー調査では日程や対象者条件などの制約の中どうしても対象となるサンプル数が限られるために、1回のグループインタビュー、一人一人のデプスインタビューを実施する場には緊張感を伴う替えの効かない時間が流れていきます。

そんな海外でのインタビュー調査を支え、『成功のカギ』となる “3つの力” を私なりの視点で整理してみたいと思います。

インタビューにおける『通訳』の影響力

海外のインタビューでは「通訳」の存在が欠かせません。どれだけ自然な言葉に訳してもらえるかがインタビューのみならず調査全体の成否に大きく影響します。

同行されるクライアントの要望により、現地語から日本語もしくは英語への同時通訳を採用します。インタビュー調査のほとんどは同時通訳となり、グループインタビューの場合、2時間程度集中力を維持しなくてはならないため二人が交代で行うこともありますが、多くの場合は一人で乗り切ってもらっています。

採用にあたっては、「インタビュー通訳」の経験を重視しています。インタビュー調査では、対象者の方が感じたニュアンスや評価の背景が重要となるのですが、「国際会議」の様な異なるシチュエーションでは求められるアウトプットも異なり、インタビュー通訳で重視されるディーテイルを省略し、ポイントを絞って簡潔に訳してしまう傾向もあったりするので、「インタビュー通訳のツボ」を心得ていらっしゃる方に巡り合えた時は一際の安心感が得られます。

発言量が多くなるグループインタビューを連続して担ってくれる通訳者は、ほとんど女性の方です。体力的な負担もかなり大きいと思いますが、きっと気力で対応してもらえているように感じます。

通訳者と事前のオリエンテーションを十分に行っておくことも重要なポイントになります。調査の目的を伝え、対象となる業界、商材に関わる名称や専門用語に目を通しておいてもらうだけで現場対応力に格段の差が生まれます。コメントの中で出てきた映画のタイトルをサラッと「邦題」に訳された時には驚きました。

通訳者もプロフェッショナルなので「良い結果」に繋がる様に全力で頑張ってくれます。我々も現地調査の現場をスムースに進行させるために通訳者への「協力を惜しまず」の姿勢で臨み、精度が上がるように要望点も妥協せずに伝えていきます。

オフライン調査 『コーディネーター』の存在感

実は一般的にあまり知られていないのですが、海外インタビューを中心としたオフライン調査を運営する重要な役割として「コーディネーター」の存在があります。

先の通訳者の採用は基より、現地パートナーの選定から事前準備、リクルーティング管理、現地対応、速報データまで、微に入り細に渡る対応で社内連携を高め、リサーチャーが設計、分析作業に集中できるように支えてくれる大きな力となります。

これまでに経験した調査の中で出会った通訳者のリスト化や、これからの調査に備え主要国のパートナー開拓など地道な作業に裏付けられた情報から都度、最適解を出し、実施提案を取りまとめたり、確定後の限られた期間で、時差が生まれる現地との調整も含めた事前準備をコツコツと進めていきます。

ただ、ミズモノとも言える現地調査なので、どれだけ万端の準備を整えて臨んだとしても、対象者のキャンセルや移動トラブルなど思いがけない状況が発生し、現場対応が求められます。正に、ここがコーディネーターの腕の見せ処。トラブル対応は、「その時にできる最善」を見抜けるかどうかにかかっています。

「…どうしよう」と立ち止まる前に「何ができるのか」を見出して、関係者で協議するキーマンとなります。この「現場力」を身につけるには、トラブル対応のみでなく日々の業務の中でもトレーニング意識を持つことで磨いていけます。「情報を集め整理する⇒優先順位を判断する⇒解決策を立てる⇒協議、実行する」…なかなか難しいようにも見えますが、海外調査で実査中の「ケータリングメニュー」を選ぶ際に、「出張者のその日の体調」や「朝食からの時間、前日のメニュー」を踏まえ、「手配可能なランチメニューのバリエーション」を提案し、「届く時間を見計らってオーダーする」と置換えれば、何となく出来そうに思えてきませんか。

また、「コーディネーター」の担う範囲に制限はないようにも感じています。前後の工程を理解し、関わる人との連携をスムースに行うために創意工夫を重ねる中で効率的に精度を高めていける、言わば、海外オフライン調査の「改善実践」が可能な役割。…と考えると、あらためてその存在の重要さを実感します。

『現地パートナー』との一体感

日本国内のインタビュー調査で普通に実現できていることを、文化や生活習慣の異なる海外で再現することは思いのほか難しいことなのです。

基本的な「集合時間を守ること」や「事前課題を準備してくること」もそうですが、日本なら少し時間が延びても最後までインタビューに協力してくれますが、海外では「時間なので失礼します」と悪気のない途中退席も発生したりします。

海外で痛感する「日本流」が通じないシチュエーションを避けるためにも、現地で実査運営に携わるリクルーティング担当やモデレータなどパートナーとの一体感を上手く醸成することが必要となってきます。先に挙げた「時間なので…」も事前に「少し長引きそうなのですが、時間が過ぎても大丈夫でしょうか」と確認しておけば状況が改善されることもあります。日本流の「あたりまえ」を現地流にローカライズしてもらい、「ここまでなら出来る」ところまで、がんばってもらい、対象者に気持ちよく調査に協力してもらえる場の雰囲気を作りあげてもらえることも、現地パートナーとの一体感が感じられる醍醐味と言えます。

コミュニケーションの面では、先のコーディネーターの存在がここでも重要となりますが、日本流の押し付けにならない様に、歩み寄りを見せて落としどころを探る。「目標達成に向けて共にがんばろう」の姿勢で解決策を探り、一つ一つ積み上がる要件達成に都度都度心からの「ありがとう」を伝える。次の機会につながる「相互信頼」が築ける様に。

リサーチャーに求められるコミュニケーションスキル

『成功のカギ』となる “3つの力”に支えられ、インタビュー調査から必要な情報を得るためには、案件を担当するリサーチャーにもスムースなコミュニケ―ションを進めるためのスキルが求められます。

個々の関係者が深く関わり、目的意識の共有が必要となるオフラインでのインタビュー調査では、事前準備のコーディネーターとのやり取りの中で検討内容の整理や判断のタイミング、抜け漏れの再確認を行い、現地で気になったことは通訳やパートナーを通じてその場で調整、確認を徹底し、実査後のフォローアップが必要になった際にも快く引き受けてもらえる良好な関係性を築くためにコミュニケーションスキルを発揮すべき場面は多くあります。

わからないことを素直に質問することと、自分なりの考えを出しながら相談、確認する姿勢を上手に切り替えて、現地感覚が詰まったアウトプットにまとめられるように、リサーチャーが自身のコミュニケーションスキルを最大限発揮し『成功のカギ』を束ねることこそが、成功への近道なのではないでしょうか。

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